8月1日、将来の港のあるべき姿について、ロサンゼルス港とロングビーチ港が共同で進めるFUTUREPORTS(未来の港)が講演会を開催した。サンペドロのロサンゼルス港湾局にて行われたイベントには、英国ロンドンに本部を置くIMO(国際海事機関)のケリーン・ラングロイス氏がメインスピーカーで登壇した。
講演の前に両港の港湾行政の責任者であるダイアン・ミドルトン氏やシャロン・ウエズマン氏から、ロサンゼルス港は全米一のコンテナ取り扱い港として同港が米国経済に与える影響の大きさを、またロングビーチはオンドック発祥の港として大気汚染改善に寄与している実績など、それぞれの港の発展の足跡や特性が紹介された。
講演に入り、IMOのロングライス氏は、両港が取り組む「クリーン・エア・アクション・プラン」の内容に触れ、2030年までに港の機器をゼロ・エミッション(汚染ゼロ)に、2035年までに港を往来するすべてのトラックもゼロ・エミッションに移行するという計画が着実に進められていることを高く評価した。
また、「脱炭素化」に向け世界の海運港湾行政が一体となって取り組んでいる状況を報告するとともにIMOはどこまでもサポートしていくと表明した。
講演のあと、パネルディスカッションが行われた。
進行は3COTECH社代表のカツ・ジャノウイックス氏が努め、IMOのラングロイス氏、ロングビーチ港湾からは執行役員であるノエル・ハセガバ氏、ロサンゼルス港湾からはマーケッティング・メディア責任者であるクリス・キャノン氏、クリス・チェース氏がスピーカーとして参席した。
ハセバガ氏からは2005年に立ち上げた「クリーン・エア・アクション・プラン」が関係各社の協力で具体的に成果を上げつつあることを紹介した。特にロングビーチ・コンテナ・ターミナルでは、港内のすべての機器がゼロ・エミッションを掲げて自動化・電気化された。それにより排気ガスの排出が大幅に軽減されていると話した。
ロサンゼルス港湾のチェース氏はAPMターミナル、トラパックターミナルのように自動化を進めることで排出ガス削減が進んでいることを紹介し、今後も船社、ターミナル、港湾局、荷主が足並みを揃えて港周辺の環境整備、環境改善に取り組んでいくと話した。
質量ともに全米をリードする両港の役割は大きい。IMOと連携を取り更に目に見える実績を残していくと宣言して講演は終了した。
ハーバーツアーを実施
講演後は、サンペドロ湾内をクルーズで見学するツアーが実施された。
普段はロサンゼルスはロサンゼルスだけ、ロングビーチはロングビーチだけを見るツアーが多いが、両港一体となっての取り組みから1時間30分かけて両方のターミナルを間近で見ることができるツアーであった。
クルーズのコースはロサンゼルス海事博物館を出港し、右手に倉庫街を見ながら沖合に進み、APMターミナル、フェニックス・ターミナルに停泊中のコンテナ船の脇をゆっくりと運行した。普段は見ることができないガントリークレーンのコンテナの荷役を興味深く見つめる参加者が多く、それぞれが写真に収めていた。
ロングビーチ側では自動化ターミナルであるロングビーチ・ターミナルを見学した。
トランステナーやスドラドルキャリアーなどが自動で動いている様子に感嘆の声が聞かれた。
ロングビーチからロサンゼルスに戻るルートとして鉄道の線路がかかる橋の下を通貨。線路の下をクルーズ船が通るたびに橋が上下する仕組みになっている。
この橋はオンドックレールが通るたびに上下する。その不思議な状況をカメラやビデオに収める参加者の姿が多く見られた。`
両港は自動車の入港でも実績があり、日産の自動車を積んだ自動車専用船が停泊しているところも見ることができた。
昨年秋以降貨物が急減するサンペドロベイエリアであるが、環境整備と合わせて貨物奪回の意気込みも感じられる講演会、そしてハーバーツアーであった。
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